なぜ、答えが出ていないのに、動き出せる人がいるのか?

本日のモヤモヤ

転職するか迷っている。引っ越すか決めきれない。新しい勉強を始めたいけれど、本当に役に立つか分からない。

こうした場面では、まず正解を知りたくなります。失敗しない道が分かれば、安心して進めるからです。

けれど現実には、動き出す前に答えが出ることは、ほとんどありません。

それでも、迷いながら一歩を踏み出す人がいます。なぜ、答えが出ていないのに、動き出せるのでしょうか。

すべてを確かめてから始めるのは、難しい

たとえば、興味のある講座を見つけたとします。

  • 内容はよさそうだけれど、続けられるか分からない
  • 仕事に役立つかも分からない
  • 費用に見合う成果が出る保証もない

ここで「確実に得をすると分かってから始めよう」と考えると、なかなか申し込めません。

始める前には、その経験が自分にどう影響するのかを、完全には知ることができないからです。やってみなければ分からないことを、やる前にすべて判断しようとしている。決められない原因は、ここにあります。

服は、袖を通してはじめて分かる

服を買うとき、ハンガーにかかった状態で眺めているだけでは、似合うかどうかは分かりません。試着室で袖を通して、鏡を見て、はじめて「思ったより合う」「やっぱり違う」と分かります。

「答えが出てから動く」とは反対の考え方をした哲学者がいます。19世紀末から20世紀初めのアメリカの哲学者、ウィリアム・ジェームズです。

ジェームズは、考えが正しいかどうかを、頭の中だけで決めようとしませんでした。実際にやってみて、現実の中でどう働くかを見て確かめる。この考え方は「プラグマティズム」と呼ばれています。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、正しい道を見つけてから歩くのではなく、歩きながら「この道でいいのか」を確かめていく、ということです。ジェームズの考え方を借りると、迷いは、動く前に消すものではなく、動きながら小さくしていくものになります。

試すと、迷いは判断の材料に変わる

動く前の迷いは、ただの不安です。でも、少し試してみると、こんな感覚が得られます。

  • 「思ったより楽しい」
  • 「自分には合わない」
  • 「条件を変えれば続けられそうだ」

どれも、頭の中で考えているだけでは手に入らなかったものです。成功しなくても、これだけで前に進んでいます。

「とにかく動けばいい」わけではない

もちろん、動きさえすれば何でもうまくいく、という話ではありません。自分に合わないことを、無理に続ける必要はありません。

大切なのは、一生の決断にしないことです。やめてもいい、考え直してもいい。そう決めておけば、動くことの重さは、ぐっと軽くなります。

迷いと、うまくつきあう方法

方法は一つではありません。合いそうなものを選んでみてください。

  • 小さく試す。 転職なら、まず経験者の話を聞く。副業なら、週末だけやってみる。引っ越しなら、候補の街を平日に歩いてみる。
  • 期間を区切る。 「まず一か月だけやってみる」「三人に話を聞いてから考える」と決めておくと、行動が重い賭けではなくなります。
  • 調べるだけの日にする。 「今週は情報収集だけ」と決めて、申し込みも決断もしない。それも、前に進んでいます。
  • 重要でなければ、やらないと決める。 試してみようとしても気が乗らないなら、それはそこまで大事ではない、というサインかもしれません。やらないと決めて、頭の中の荷物を一つ下ろしていいのです。

答えが出ていないから動けないのではありません。答えを出すために、まだ経験が足りないだけなのかもしれません。

完璧な確信を待つより、あとで考え直せる小さな一歩を選ぶ。その一歩は、次の判断に必要な情報を集めるためのものです。

あなたがいま迷っていることは、答えを探す問題でしょうか。それとも、少し試してみることでしか見えてこない問題でしょうか。

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