なぜ、よく知らないのに、つい意見を言いたくなるのか?

本日のモヤモヤ

ニュースを見ていると、すぐに意見を言いたくなる。

  • 誰が悪いのか
  • 何が正しいのか
  • 自分はどちら側なのか

本当は、まだ情報が足りない。詳しい事情もわからない。それでも、早く結論を出したくなります。

なぜ、「よくわからない」と言えずに、結論を急いでしまうのでしょうか。

結論を急ぐのは、置いていかれたくないから

「よくわからない」と言い続けるのは、頼りなく見えそうで、少し怖いものです。

たとえば、職場で誰かの発言が話題になったとします。周りが次々に「それは失礼だった」「いや、言い方が悪い」と意見を言うと、自分も何か言わなければいけない気がしてきます。

考えているというより、会話に置いていかれないために、結論を急いでしまうのです。

答えが出ると、少し安心します。けれど、その安心は「理解できたから」ではなく、「考えなくてよくなったから」生まれていることがあります。

「わからない」と言うのは、考えていないから?

「私は何を知っているのか」

16世紀のフランスの思想家、モンテーニュが、自分の考えの出発点にした問いです。

モンテーニュは、立派な答えを並べる代わりに、自分の考えがぐらぐら揺れ動く様子を、そのまま『エセー』という本に書き残しました。知識を並べて、自分を大きく見せようともしませんでした。

彼にとって、わからないと認めることは、考えるのをやめることではありません。自分の思い込みを疑って、もう一度見直すためのやり方でした。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、「わからない」は考えの終わりではなく、入口だ、ということです。

いったん決めないでおくと、見えるものが増える

友人から、返信が来ないとします。

  • 嫌われたのかもしれない
  • 忙しいだけかもしれない
  • 自分の前のメッセージが重かったのかもしれない

最初の印象だけで決めれば、「嫌われた」と結論づけてしまうかもしれません。でも、結論をいったん保留する(決めないでおく)と、別の可能性も見えてきます。

ここで大切なのは、何も考えずに放置することではありません。次の3つを分けてみます。

  • 今わかっている事実は何か
  • 自分が想像しているだけのことは何か
  • まだ確認できていないことは何か

それだけで、気持ちと事実が少し離れます。モンテーニュの考え方を借りると、これは「自分の考えがどこまで確かなのか」を確かめる作業です。

全部を「わからない」で済ませていいわけではない

もちろん、何でも先延ばしにしていいという話ではありません。仕事の締め切りや契約のように、期限のある判断は、決めなければ先に進めません。

保留は、何もしないことではありません。いつまでに、何がわかったら決めるのか。判断する時期や条件を、自分で決めることです。

わからないままと、うまくつきあう方法

方法は一つではありません。合いそうなものを選んでみてください。

  • 判断する日を決める。 「今日は判断しない」「確認してから、明日考える」と、決める時期を自分で決めます。
  • 元の情報を確かめる。 ニュースなら、本人の発言や公式の発表など、元の情報を見てから考えます。
  • 会話では、正直に言う。 「まだわからないから、少し考えさせて」「今のところ、こう見える」くらいで十分です。
  • 重要でなければ、結論を出さないと決める。 自分に直接関係しないことなら、深追いしなくていいのです。すべてのニュースに意見を持つ必要はありません。すべての人の事情を理解する必要もありません。

すぐに結論を出せる人が、いつも深く考えているとは限りません。

「まだわからない」と言える時間は、考える力を守ってくれることもあります。

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