「残り3個」と言われると、なぜ急に欲しくなるのか?

本日のモヤモヤ
てつまる

「残り3個です」「本日限定」「先着100名」。こんな言葉を見た途端、急に気になった経験はありませんか?

昨日までは特に欲しくなかったのに、「なくなる」と聞いた瞬間に手が伸びる。これは意志が弱いからではなく、人間にはそういう傾向があるからです。

中身は同じなのに、価値が上がって見える

コンビニのいつものお菓子は、「また今度でいいか」と素通りしがちです。ところが「期間限定」と書かれた途端、「今しか買えないかも」と思えてきます。

不思議なのは、お菓子自体は何も変わっていないこと。味も量も昨日と同じで、変わったのは「いつでも手に入る」という安心感だけです。心理学ではこれを希少性の原理と呼び、手に入りにくいものほど価値が高く見える現象だとされています。

2400年前の哲学者も、この「欲しい」を考えていた

この「欲しい」という気持ちの正体を、真正面から考えた哲学者がいます。古代ギリシャのプラトンです。

対話篇『饗宴』の中で、ソクラテスは「愛(エロス)とは何か」を語ります。そこで出てくる考えが、人が欲しがるのは、自分に欠けているものだというものです。すでに満たされているなら、人はそれを欲しいとは思わない。欲望は、足りない部分から生まれるというわけです。

ここで「でも、お金持ちだって『お金が欲しい』と言うよね?」と思いますよね。『饗宴』でも似た疑問が取り上げられ、こう整理されます。すでに持っているものを欲しがるとき、人は「これからも持ち続けたい」と願っている。つまり欠けているのは、「未来にも自分のものでいる保証」だということです。

「限定」は、その「保証」を揺さぶる

プラトンの考え方を借りると、「残り3個」の正体が見えてきます。

この言葉は、商品の価値を上げているわけではありません。「今は買える」ものを、「このままだと自分のものにならないかもしれない」ものに変えているのです。足りなくなるのは商品ではなく、「未来に手に入る保証」のほうです。

人間関係でも同じことが起きます。「いつでも会える」と思っていた友人が遠くへ引っ越すと決まった途端、急に会いたくなる。会えなくなる可能性が、気持ちに火をつけるのです。

次に「残りわずか!」を見たら

私たちは「モノ」を欲しがっているようで、実は「逃したくない」という気持ちに反応していることがあります。

次に「残りわずか」を見かけたら、少しだけ立ち止まって自分に聞いてみてください。「これは本当に欲しいのか、それとも逃したくないだけなのか?」

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