なぜ、あとから「言い返せばよかった」と思ってしまうのか?

本日のモヤモヤ

その場では、何も言えなかった。

相手に嫌なことを言われても、とりあえず笑って流した。会議で反対意見が出ても、黙って聞いていた。

ところが、家に帰ってから思い出します。

  • いや、あれは違うだろう
  • こう言えばよかった
  • なんであのとき何も言えなかったんだろう

頭の中では、何度も言い返しています。不思議なのは、その場では怒っていなかったのに、時間が経つほど腹が立ってくることです。

なぜ、あとから腹が立ってくるのでしょうか。

怒りは、帰りの電車で育つ

同僚に「これ、まだ終わってないんですか?」と、少し嫌味っぽく言われたとします。その場では、「すみません、今日中には終わらせます」と答えました。

でも帰りの電車で、ふと思います。

  • そもそも、あの仕事を急に振ってきたのは向こうじゃないか
  • みんなの前で言う必要あった?
  • 自分だってミスしてるのに

さっきまで何とも思っていなかったのに、思い返すほど、怒りが大きくなっていきます。

「許せない」と考えるほど、怒りは大きくなる

「怒りは、嫌なことを言われた瞬間に生まれる」と思いがちです。ところが、怒りが大きくなる仕組みを、細かく書き残した人がいます。およそ2000年前の古代ローマの哲学者、セネカです。

セネカは『怒りについて』という本で、怒りを、ただの体の反応とは考えませんでした。「自分は不当に扱われた」という考えと結びついたものだ、と見たのです。

嫌なことを言われて、むっとするのは自然な反応です。でも、そのあとで「失礼だ」「軽く見られている」「許せない」と考えを重ねるほど、怒りは育っていきます。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、怒りを大きくしているのは、出来事そのものより、「なんであんなことを言われたのか」と考え続けることだ、ということです。

怒らないことは、何もしないことではない

セネカは、理不尽なことに何もしなくていい、と言ったわけではありません。問題にしたのは、怒りに任せた仕返しや、衝動的な行動です。

だから、「それは困ります」「次からはこうしてほしいです」と伝えることはできます。怒りをそのままぶつけるより、何を変えてほしいのかを言葉にしたほうが、状況は変わりやすいものです。

その場で言い返せなかった自分を、責める必要もありません。

あとから腹が立ったときの、いくつかの方法

方法は一つではありません。合いそうなものを選んでみてください。

  • 何に腹が立ったのかを、分けてみる。 言い方が嫌だったのか。人前で言われたのが嫌だったのか。努力を無視されたのが嫌だったのか。
  • 言い返す練習を、伝える言葉に変える。 頭の中で相手を責め続けると、出来事がもう一度起きているような状態になります。「何を変えてほしいか」を一文にしてみます。
  • 落ち着いてから伝える。 怒りがおさまってからでも、遅すぎることはありません。
  • 重要でなければ、引きずらないと決める。 明日にはどうでもよくなっている程度のことは、「今日は疲れていたんだろう」で終わらせてかまいません。

大切なのは、怒りを消すことではなく、怒りに任せて動かないことです。

腹が立ったことと、どう動くかは、別々に考えていいのです。

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