なぜ、他人の成功を見ると、自分まで焦ってしまうのか?

本日のモヤモヤ

友人の昇進報告を見た。知人が結婚した。同年代の人が、起業したり、資格を取ったり、海外で暮らし始めたりしている。

「すごいな」と思う気持ちは、本物です。

けれど、その直後に、少しだけ胸がざわつくことがあります。

自分は何をしているのだろう。このままで大丈夫なのだろうか。

他人の成功を見ただけなのに、なぜ、自分の人生まで遅れているように感じてしまうのでしょうか。

比べているのは、能力よりも「時間」

他人の成功を見て焦るとき、気になっているのは、実は時間です。

同じ年齢なのに、相手は先に進んでいる。自分より後から始めた人が、いつの間にか結果を出している。そう感じると、自分の時間だけが止まっているように思えてきます。

しかも、SNSで見えるのは、合格、昇進、結婚、受賞など、結果が出た瞬間だけです。途中の迷いや失敗は、ほとんど見えません。

だから私たちは、他人の「いちばん良い場面」と、自分の「迷いも失敗も含んだ全部」を比べてしまいます。比べる条件が、最初から違っているのです。

「おめでとう」の裏で、こんなことを思っていませんか

友人の昇進を聞いて、口では「おめでとう!」と言った。でも心の中では、こんなことをつぶやいている自分がいます。

  • どうせ上司に気に入られただけでしょ
  • そこまでして出世したいとは思わないけど

あとになって、「なんであんなことを思ったんだろう」と自己嫌悪になる。そんな経験はないでしょうか。

「ただの嫉妬でしょ」と片づけずに、この気持ちを見つめた哲学者がいます。19世紀のドイツの哲学者、ニーチェです。

ニーチェは、これを「ルサンチマン」と呼びました。本当は欲しいのに、手が届かない。その悔しさが、「あんなもの、大したことない」という批判の形になって出てくる。そういう感情のことです。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに「欲しいのに届かない悔しさが、姿を変えたもの」ということです。

だから、素直に喜べないからといって、「自分は性格が悪い」と決めつける必要はありません。大切なのは、気持ちの正体を見てみることです。

「あの人が嫌いなのか」。それとも「自分も本当は、あの場所に行きたかったのか」。

他人への反発の中には、自分でもまだ言葉にできていない願いが、隠れていることがあります。

焦りは、負けの証拠ではない

焦りは、悪い感情ではありません。自分が何を気にしているのかを教えてくれる、合図のようなものです。

たとえば、昇進した人を見て焦るなら、役職そのものより「認められたい」という願いがあるのかもしれません。旅行の投稿を見て落ち着かなくなるなら、「自由に使える時間がほしい」のかもしれません。

その人の人生がまるごと欲しいわけではありません。その人が手にしているものの一部を、自分も求めているのです。

焦りの全部に、意味があるわけではない

もちろん、焦りのすべてが「本当の願い」とは限りません。寝不足の日や疲れている日は、ただ気持ちが弱っているだけのこともあります。

無理に意味を探さなくて大丈夫です。「今日はそういう日だ」で済ませていい焦りもあります。

焦りと、うまくつきあう方法

方法は一つではありません。合いそうなものを選んでみてください。

  • 自分に質問してみる。 「何に反応したのか」「本当に欲しいのは何か」と、自分を責める前に聞いてみます。
  • 小さな一歩にする。 同じ結果を目指すのではなく、自分に必要な一歩だけを決めます。旅行の投稿でざわついたなら、次の休みに半日だけ予定を空ける、くらいで十分です。
  • 見る量を減らす。 ざわつきが続くなら、その人の投稿をミュートする、SNSを開く時間を短くする。それも立派な対策です。
  • 重要でなければ、追わないと決める。 質問してみて「別にそこまで欲しくなかった」と分かったなら、追いかけなくていいものです。決めてしまうだけで、胸のざわつきは軽くなります。

他人の成功は、自分の遅れを証明するものではありません。自分が何を求めているのかを、ふと教えてくれただけです。

他人の人生を見て焦ったとき、あなたが本当に追いかけたいのは、その人でしょうか。それとも、その人を見て初めて気づいた、自分の願いでしょうか。

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