なぜ、欲しいものを手に入れても、すぐに次が欲しくなるのか?

本日のモヤモヤ

新しいスマートフォンを買った。ずっと欲しかった服を買った。念願だった旅行にも行った。

その瞬間は、もちろんうれしい。ところが、しばらくすると慣れてしまいます。そして、また別の商品を見つけて、「これも欲しい」と思う。

欲しいものを手に入れれば幸せになれると思っていたのに、欲しい気持ちは終わりません。

なぜ、手に入れても、すぐに次が欲しくなるのでしょうか。

高いものほど、満足が大きいとは限らない

給料日に、少し高いレストランへ行ったとします。料理が運ばれてきて、「今日は贅沢してよかった」と思う。でも、毎週通うようになると、最初ほどの特別感はなくなるかもしれません。

一方で、お腹が空いている仕事帰りに食べる、普通のおにぎりが、妙においしく感じることもあります。

「欲しい」と「満足」は、同じではないようです。

欲しい気持ちを、三つに分けた哲学者

高いから満足、とは限らない。この不思議を考え抜いた哲学者がいます。およそ2300年前の古代ギリシアの哲学者、エピクロスです。

エピクロスは、「快楽」を大事にした人として知られています。ただ、欲しいものを次々に手に入れて楽しむ、という意味ではありません。彼は、欲望をこんなふうに分けました。

  • 自然で、必要な欲望。 お腹が空いたら食べる、眠い日は眠る、など。
  • 自然だけれど、必要ではない欲望。 高級な料理を食べたい、など。
  • きりがない欲望。 有名になりたい、もっとすごいものが欲しい、など。

お腹が空いたら、食べ物が必要です。でも、「もっと高級なものでないと満足できない」となると、話が変わります。「もっと」は、満たされるたびに、次の「もっと」を連れてくるからです。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、エピクロスが目指したのは、欲しいものを増やすことではありません。欲しいものに振り回されなくても、満足できる状態をつくることでした。

欲しがることが、悪いわけではない

エピクロスは、欲望を全部なくそうとしたわけではありません。おいしいものを食べても、旅行を楽しんでもいいのです。

大切なのは、それが「なくては満足できないもの」になっていないかを、見分けることです。

たとえば、「最新機種が欲しい」と思ったとき、「何が変われば満足なのか」を考えてみます。カメラなのか、電池の持ちなのか、新しいものを持つ感覚なのか。目的が「電池を長持ちさせたい」なら、買い替えなくても解決できるかもしれません。

我慢すれば、満たされるわけではない

もちろん、必要なものまで我慢する話ではありません。生活に必要なものは、ためらわずに買って大丈夫です。

また、欲しい気持ちをなくそうと頑張りすぎると、それがかえって苦しくなります。気持ちそのものは、そのままあっていいのです。

欲しくなったときの、いくつかの方法

方法は一つではありません。合いそうなものを選んでみてください。

  • 「今のもので、本当に困っているか」を聞く。 服を買う前に、持っている服で困っているのかを考えます。
  • 足りないものを、言い換える。 「旅行がしたい」の奥にあるのは、旅行そのものか、それとも休む時間か。考えてみます。
  • すぐに買わず、数日置く。 数日たっても欲しければ、それは本当に欲しいものかもしれません。
  • 重要でなければ、買わないと決める。 「欲しいけれど、なくても困らない」と分かったら、買わなくていいのです。欲しい気持ちは、そのまま持っていてかまいません。

欲望は、必ず消さなければいけないものではありません。ただ、「これがないと幸せになれない」という思いに変わったときは、一度立ち止まってみます。

今日、何かを「欲しい」と思ったなら、それは本当に足りないものなのか、すでにあるものに気づく前に、次を探し始めているだけなのか。一度だけ、考えてみてください。

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